『摩耗試験』とは、材料の摩耗に対する耐摩耗性や摩擦係数を調べることを目的とした試験です。「摩耗」とは、使用において2つの物体に摩擦が生じることで次第に消耗していく現象を指し、主に機械部品や工具、タイヤ、プラスチック製品、塗装やメッキ加工が施された製品などに対して試験が実施されます。
■摩耗試験の種類について
摩耗現象は実際の使用環境や潤滑剤の有無、温度、湿度などあらゆる要因によって変化するため非常に複雑です。また同じ材料でも組み合わせ次第で変化が起こることから、摩耗試験はきわめて広範囲の試験となります。
また、摩耗方式は大きく分けて「すべり摩耗」「転がり摩耗」「衝撃摩耗」の3つに分類され、さらに以下6種類の摩耗試験に分類されます。
・ボール(ピン)オンディスク回転式:ディスク状の試験片にボールまたはピンを押し付けた状態で回転摺動させ、動摩擦係数を測定します。
・ボール(ピン)オンディスク往復動試験:プレート状の試験片にボールまたはピンを押し付けた状態で水平方向に往復摺動させ、摩擦係数や試験後の摩耗量を測定します。
・スラストシリンダー式:中空円筒の試験片を平板試験片に押し付けて回転させ、摩耗量を測定します。なお、摩耗が進行しても接触面積が変化しにくいという特徴があります。
・ブロックオンリング式:中空円筒の試験片の側面にブロック状の試験片を押し付けて回転させ、摩擦量や動摩擦係数を測定します。なお、この試験では摩耗の進行に伴い、接触面積が線から面へと変化します。
・四球式:4個の同一寸法の球をピラミッド型に積み上げ、そのうち下3つを固定球、上の1つを回転球にして押し付け回転させることで、摩耗痕径を測定します。
主に潤滑剤使用下での焼付き特性評価や、潤滑剤の耐荷重性能の評価に用いられます。
・ピン・ブロック式:棒状の試験片の両側をブロックで挟み、棒を回転させることで摩耗状態を測定します。主に潤滑剤使用下での焼付き特性の評価に用いられます。