弊社では、引張試験、疲労試験に加え、2021年1月にASTM E399に準拠した室温KIc試験のNadcapの認証を取得した。Nadcapでは、対象となる試験規格の最新版をフォローし、自社の作業標準に織り込むべきか判断し、必要に応じて、試験作業と結び付ける必要がある。ASTM E399は、比較的、頻繁に改訂がなされ、最近でも2017年、2019年、2020年、2022年に改訂された。2022年の改訂版、ASTM E399-22では、①疲労予き裂導入時の圧縮側の条件、➁圧縮予荷重の許容限界、➂低靭性材の疲労予き裂導入条件、④板厚方向に残留応力分布が存在する試験片への疲労予き裂導入条件について、変更や追加があった。本報告では、その内容を説明するとともに、変更された圧縮条件(レポートの(1)および(2)式)の物理的意味について考察した。