シミズテックの投稿論文及び解説

2021/02/15
当社が参画する共同研究成果が国際的な学術誌に掲載されました。

2020/10/10 近畿大学との犬の股関節疾患に適用できる人工股関節の基礎研究を進めてきましたが、その成果が国際的な学術誌に掲載されました。

弊社はアニマルクリニック小林および近畿大学生物理工学部医用工学科・山本准教授と共同で動物用の股関節疾患に適用する人工股関節の基礎研究を進めていますが、成果の一部が山本准教授から国際的な生体工学の学術誌Journal of the International Federation for Medical and Biological Engineeringに投稿され、厳しい審査の末、昨年末に掲載されました。(下記参照) 
 この共同研究では動物に人工股関節を適用する際の課題の一つである手術後の脱臼を防止する機能を有する人工股関節の研究を行っていますが、今回の投稿内容は研究中の人工股関節の脱臼防止能力をコンピュータシミュレーションによって解析したものです。従来の人工股関節は寛骨臼の機能を有するカップが半球殻状のため、カップ自体に脱臼を防ぐ機能はなく、周辺の筋肉や姿勢の制限などが必要でしたが、本研究のカップは半球殻より若干深くなっており、中に入った骨頭が抜け難くなっています。
 このシミュレーションではカップ内面と骨頭が接触状況にあることが考慮できる高度な構造解析技術が使われており、カップから骨頭が抜ける過程がリアルに再現され、抜け難さ=脱臼防止能力が解析的に評価できるようになりました。この論文では脱臼防止能力に対するカップの形状の影響が調べられていますが、これを発展させることで必要な脱臼防止力を実現する最適な設計ができると期待されます。
 当社は試験用の股関節の設計・製作および試験を担当しました。

Estimation of the effects of inset heights and slit configurations in an acetabular cup on the pull-out behavior of an artificial hip joint with a structure for preventing dislocation using finite element analysis. Journal of the International Federation for Medical and Biological Engineering, Volume 58, Number 10, October 2020. (Springer) 
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