これまで、テクニカルレポートNo.1とNo.5で、金属材料の線形平面歪破壊靭性値、KIcを求める試験法、ASTM E399について説明しました。
本報では、弾塑性破壊靭性値の1つのJIcを求める試験法であるJIc試験について説明します。JIcはミクロボイド合体形の安定延性き裂発生時のJ値であり、JIc試験は、通常、ASTM E1820に準じて実施されます。ASTM E1820のJIc試験はASTM E399のKIc試験に比べて、平面歪条件を満足するための試験片寸法要件ははるかに緩いが、試験手順が複雑で、寸法要件以外にも合否判定項目が多くあります。規格では、それらの1つでも不合格ならinvalidとなり、弾塑性平面歪破壊靭性値、JIcは得られません。本報では、ASTM E1820-22によるJIc試験の手順を説明するとともに試験結果の合否判定について詳しく説明します。